<計画の背景>
宇都宮市の住宅街,戸建て住宅の敷地内に計画するプライベートギャラリーの計画。敷地は古い大谷石の塀で囲まれており,その中に母屋と既存の大谷石の蔵,以前ここに建っていた古い洋館風の洋間をリノベーションした離れがある。また,北側の敷地境界と大谷石の塀との間に1m20cm程度の空地があり,裏路地のようなスキマが取り残されている。
ギャラリーの計画位置は,既存大谷石蔵の西隣と指定されており,石蔵2階の窓からギャラリーの屋上へと人の移動が可能であること,前面道路を挟んだ西側の隣家からの視線を遮れる屋上の計画が求められた。内部においては,友人の呼べる趣味のギャラリー と,時にはヨガスタジオともなるスペースが求められ,北側の裏路地のようなスペースの活用方法が問題となった。
<計画主旨>
個性豊かな建物群の中で新たな個性を発揮しつつ,上りたくなるような地上から近い位置での屋上の計画と,大谷石の塀が内部の壁として機能するギャラリースペースを試みた。
隣家からの視線を遮るように,屋上床のデッキ材が隆起したようなプランターを設けて,それぞれがベンチの一部とるよう勾配を設定しながら配置を検討した。また裏路地部分は,庇を設けて軒下空間として,裏側のエントランスを兼ねた外部ギャラリーとした。
加えて,この建物には施主のコレクションである木建具を 使用することも求められており,塀の大谷石を含め様々なパーツの持っている記憶を浮かび上がるような空間にしたいと考えている